時間割
私が留学したのは Master of Speech Pathology で、2年間のコースでした。もし Bachelor(学士課程) に留学される場合は、約4年間のコースになります。マスターと比べて少しゆったりとした進み具合ですが、基本的に学ぶ内容は同じです。そのため、私が通った大学では、マスターの学生とバチェラーの学生が一緒に授業を受けることもありました。
マスターは、本来4年間かけて取得できる資格を2年間に圧縮しているため、とにかく忙しいのが特徴です。特に1年目の1学期と2学期は基礎を学ぶ期間であり、月曜から金曜まで朝9時から夕方5時まで授業がぎっしり詰まっていることもありました。以下に、私がマスター1年目に経験した時間割の例を紹介します。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | |
9am | リハビリテーションワークショップ | ワークショップ | チャイルドケアで1日実習 | チャイルドケアで1日実習 | チュートリアル | 課題・予習・家事・お出かけ等 | 課題・予習・家事・お出かけ等 |
10am | |||||||
11am | |||||||
12pm | チュートリアル | ||||||
1pm | |||||||
2pm | |||||||
3pm | |||||||
4pm | |||||||
5pm |
授業内容
授業は大きく分けて、4つに分類されます。レクチャー、ワークショップ、チュートリアル、実習です。
- レクチャー:いわゆる講義。日本の大学のように大教室に集まって、一人の教授がパワポを使って授業をすすめるスタイル。先生がプレゼンをして、学生はノートを取ることがメイン。だいたい講義は2時間のことが多い。
- ワークショップ:講義と似ている。しかし、もう少しインタラクティブ。ペアになって話し合ったり、グループ内で話し合ったりすることが多い。例えば、実際にクライエントの動画を見て、言葉の発達はどうか、アイコンタクトやジェスチャーなどはどうか等、グループで話し合う。これも、一コマ2時間ぐらい。
- チュートリアル:10人程度のグループ学習。学生が主体となって授業を進める。実際の言語障害や、嚥下障害の事例が与えられ、グループで事例を分析して、どのような支援が必要か、どのセラピーが良いかなどを話し合う。一コマ、3時間ぐらい。
- 実習:2年間で4回の実習(私の場合)。週2回、計10週間〜18週間ほど。実習先は、チャイルドケア(日本でいう幼稚園)、病院、高校、小学校、私立のクリニックなどさまざま。
個人的には、2番目のチュートリアルが苦手でした。日本の大学で、グループ学習をした経験がほとんどないので、最初は発言が全然できず、「グループに貢献できていない、どうしよう」と落ち込むことがありました。でも、2学期が始まる頃には、コツが掴めてきて、躊躇せずに発言できるようになっていきました。
予習・課題など
授業だけならまだしも、大変なのが予習と課題です。
予習には、本のチャプターを読む、事前に録画されたミニレクチャーを見る、YouTube動画を視聴するなどがありました。正直、すべてを完璧にこなすのは不可能です。1学期の初めは本もしっかり読んでいましたが、実習が始まると時間が足りなくなり、読書系の予習はほぼできなくなりました。結構やってない人多かったです(ていうか、時間がなくてできない!)。
課題は定期的に出されます。課題には、実技系、テスト系、レポート系があります。私は、特に実技系の課題が苦手でした。たとえば、試験官の前でクライエント役とセラピスト役を演じ、15分間のセッションを行うといった実践的な内容です。課題に落ちた場合は、再試験や再提出のチャンスが2回与えられますが、それでも合格できない場合は留年のリスクがあります。幸い私は1つ落としただけで、ほかは一発合格できました。しっかり対策すれば絶対に合格できる内容なので、過度に心配する必要はありません。
実習
実習先は、住んでいる場所、車の有無、過去の実習経験などを考慮して決まります。オーストラリアでは、小児分野(赤ちゃんから高校生まで)の実習が多く、成人分野を多く経験する機会は少なめです。ただし、2年間のうち最低1回は成人分野の実習が必須です。運が良ければ成人2回、小児2回と、バランスよく経験することもあります。
また、日本のように実習時間数で合否が決まるわけではなく、能力ベースで評価されます。Speech Pathology Australia が定める新卒レベルの基準に達していれば合格、達していなければ不合格となります。私も最初は不安でしたが、実習先の指導者から優しく建設的なフィードバックをいただき、無事にすべての実習を終えることができました。
まとめ
以上、オーストラリアの大学院でのカリキュラムや授業内容についてまとめてみました。2年間は非常に大変でしたが、素晴らしい先生や友人に恵まれ、乗り越えることができました。質問や疑問がある方は、ぜひお問い合わせフォームやコメントからメッセージをお寄せください!
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